研究室内で重い本を、あちこちと移動させる。
軽い腰痛になる。
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11年前の日記inフランス。
1996年2月27日(火) 快晴、暖かい。家賃を振り込むために銀行へ。コートを着て出たのは失敗。暖かすぎて汗をかく。コートなしの人が多い。
検札の係員がバスに乗ってくる。わたしの後ろの中学生グループは全員が切符なしの不正乗車。罰金額は、100フラン(約2000円)。罰金を取られた中学生たちが、下車後、けんか。
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11年後の補充
日本においては、ストラスブール市の路面電車の復活が環境に優しいとしてさかんに報道されている。
低床式の新型車両のデザインがすばらしいとか、騒音・振動が少ないというような報道である。
しかし、日本での報道は根本的におかしい。路面電車復活の基本は、車両製造技術にあるのではない。運転手一人で、多数の出入り口を一斉に開け閉めして、多数の乗降客が一気に乗り降りできるようにした点こそが、最大のアイデアなのである。これによって、運行スピードの飛躍的向上が実現されたのである。
つまり、乗降のスピードアップのために、一人一人の切符のチェックを原則として行わないのである。これこそが、路面電車復活の最大のポイントである。
このため、乗客は、切符なしで不正乗車をほぼ自由に行うことができるのである。そこで、これを防止するために、検札員チームが巡回しており、ときどき、車両に乗り込んできて、全乗客に切符の提示を求めるということをするのである。そして、切符を持っていない乗客から、罰金を徴収する。
運行されている全車両の数と、検札員の検札回数を統計学的に計算して、乗客に切符を買うように促すような罰金額が定められているのである。
ヨーロッパに行く前に、ヨーロッパで暮らしたことのある統計学者から、つぎのようにアドバイスされていた。切符は、買うのならば毎回必ず買いなさい。買わないのなら、ヨーロッパ滞在中一度も買わず、運悪く検札員につかまったときだけ罰金を払いなさい、と。
ストラスブールで暮らした2年間、必ず切符を買った。したがって、一度も罰金を払ったことはない。ただ、わたしの体験では、検札員のチェックを受けた回数はごくわずかであり、統計学的には、一度も切符を買わないという選択肢の方が多分、得であろう。
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